老化の原因についてわかりやすく解説しています。
老けないために対策すべき「糖化」「酸化」「炎症」について解説しているので、最後まで読んでいただけると幸いです。
老化の原因とは?
老化の原因は主に2つあります。
- 加齢による細胞の変化
- 細胞の損傷による老化
どちらも「細胞」が関わっていますが、前者は自分でコントロールすることが難しく、後者は自分でコントロールすることができます。
参考 加齢と老化の違い
1つずつ解説していきます。
加齢による細胞の変化
先述したとおり、加齢による細胞の変化は、自分でコントロールすることが難しいので知識として知っておく程度で良いでしょう。
体が老化する仕組みは完全にはわかっていませんが、体を作っている細胞の老化が一因であることが明らかになっています。細胞は分裂を繰り返すたびに染色体の末端部にあるテロメアという部分が短くなっていき、ある一定を超えると「細胞老化」という分裂不能な状態に陥ります。さらにその後の研究でテロメアが短くなる以外にも、DNAの損傷や活性酸素の発生といった様々なストレスが原因で細胞が老化状態になることがわかり、ストレスにより発生した老化細胞は加齢に伴って体内に蓄積していくと考えられています。
引用:神戸大学
参考 体が細胞から若返る仕組み
ミトコンドリアの機能低下
ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを生成する役割を持っていますが、加齢に伴いミトコンドリアの機能が低下し、エネルギー産生が低下します。
テロメアの短縮
テロメアは染色体末端に存在するDNAの部位で、細胞分裂のたびに短くなっていきます。テロメアが短くなりすぎると、細胞は分裂不能になり、老化が進行します。
参考 老け顔か若い顔か? テロメアが見た目年齢を左右する理由
クロマチンの変化
クロマチンはDNAとタンパク質からなる複合体で、遺伝子発現に重要な役割を持っています。加齢に伴い、クロマチンの構造や染色体の配置が変化し、遺伝子発現が変化します。
細胞分化能力の低下
加齢に伴い、細胞の分化能力が低下します。これは幹細胞の数が減少することや幹細胞が老化することが原因とされています。
成長ホルモン分泌量の低下
細胞を修復する成長ホルモンは加齢とともに徐々に減少するため、加齢による老化に関係していると考えられています。
細胞の損傷による老化
細胞の損傷による老化は自分でコントロールできます。細胞の損傷が増えると老化が進行し、細胞の損傷を減らすと老化予防になるというシンプルなものです。
アンチエイジングとして、何歳になっても若々しい体を維持するためには、細胞の損傷が減少する生活習慣を心がける必要があります。
細胞の損傷を抑えるには、細胞が損傷する三大原因「酸化」「糖化」「炎症」を知って、それぞれ予防対策することが大事です。
1つずつ解説していきます。
細胞が損傷する「酸化」
細胞内で酸素が代謝されると、フリーラジカルと呼ばれる活性酸素が発生します。細胞内の分子が酸化することによって細胞が損傷するので老化を加速させます。
私たちが生命活動を営む上で酸素の利用は必須となります。活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になることをいいます。ヒトを含めた哺乳類では、取り込んだ酸素の数%が活性酸素に変化すると考えられています。活性酸素は、体内の代謝過程において様々な成分と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらします。
引用:e-ヘルスネット(厚生労働省)
活性酸素そのものは生きるために必要ですが、活性酸素が増えすぎることによって細胞が損傷し、老化の原因となってしまいます。
酸化の原因
活性酸素が増えすぎる酸化の原因は次のとおりです。
- 喫煙
- 過度な飲酒
- 食べ過ぎ
- 紫外線
- 過度な運動
- 大気汚染物質
- 慢性的な炎症
喫煙や過度な飲酒、食べ過ぎ、紫外線が良くないことは何となくわかると思いますが、意外と盲点になりやすいのが過度な運動、大気汚染物質、慢性的な炎症です。
「運動は健康に良い」とよく言われますが、アンチエイジングの観点からいうと、運動のやり過ぎ(過度な運動)は活性酸素が増えすぎるので良くありません。
呼吸から取り込んだ酸素の2%~5%が活性酸素に変化するため、息が上がるような激しい運動は、多くの酸素を体内に取り込み、多くの活性酸素を発生させるからです。
プロスポーツ選手やアスリートの寿命は、一般人の平均寿命より1割ほど短いといわれています。活性酸素によって細胞が損傷し、テロメアと細胞分裂に影響を及ぼしていると考えられます。
空気中に含まれる有害物質(大気汚染物質)も要注意です。
微小粒子状物質(PM2.5)や黄砂、自動車の排気ガス、タバコの煙、散布される農薬、殺虫剤、消臭スプレーなどが身近にあります。
また、慢性的な炎症に関しては後述しますが、酸化と炎症はほぼセットで引き起こされると覚えておいてください。
酸化の予防対策
まずは、酸化の原因を減らすことが大事です。
飲酒や暴飲暴食を控える、紫外線対策をする、禁煙にチャレンジするなど、できる範囲で酸化の原因を減らしましょう。
酸化の原因を減らしながら、抗酸化作用のある食べ物を摂取することで細胞の酸化を抑えることができます。
参考 抗酸化作用のある食べ物
細胞が損傷する「糖化」
糖質の過剰摂取によって、細胞内のタンパク質やDNAが非特異的に糖化して、細胞が損傷するので老化を加速させます。
「糖化」が美容と健康の大敵として問題視されています。糖化は体の中で余分な糖がたんぱく質に結びつくことです。最終的には糖化最終生成物(AGEs:Advanced Glycation Endproducts)という名の複数の物質を生成し、体にさまざまな悪影響を与えます。
美容面での影響は肌や髪に出ます。肌のハリを保つコラーゲンたんぱくに糖化が起きると肌の弾力が失われます。髪のたんぱく質が糖化するとハリやツヤがなくなります。皮膚の細胞にAGEsが沈着するとシミやくすみとなります。
引用:静岡理工科大学
AGEs(終末糖化産物)をゼロにすることは難しいですが、AGEsが増えすぎることによって細胞が損傷し、老化の原因となってしまいます。
糖化の原因
AGEs(終末糖化産物)が増えすぎる糖化の原因は次のとおりです。
- 炭水化物の過剰摂取
- 糖質の過剰摂取
- 高温調理した食べ物
炭水化物(糖質+食物繊維)は、ご飯やパン、麺類など主食となる食べ物です。糖質は砂糖が使用されているチョコレートやケーキなどの甘いものです。
炭水化物や糖質を摂り過ぎると、エネルギーとして糖質を使いきれず、体内に糖質が余ってしまいます。
余分な糖質は体脂肪として溜め込まれるだけでなく、余分な糖質とたんぱく質が結合してAGEsを生成してしまうのです。
さらに、AGEsは体内で生成されるだけではありません。
高温調理によって、すでに糖化した食べ物自体に含まれていて、その約7%が体内に取り込まれるということがわかっています。
「焼く」「炒める」「揚げる」という高温調理がAGEsを発生させる原因となります。
糖化の予防対策
糖化の予防対策は、炭水化物や糖質の摂取を控え、高温調理した食べ物を控えることが大事です。
食後血糖値を抑えるために「GI値が低い食べ物」を選び、「茹でる」「蒸す」「煮る」という糖化しにくい調理方法を選びましょう。
細胞が損傷する「炎症」
慢性的な炎症は細胞が損傷するので老化を加速させます。
「炎症」とは、体の組織に異常が生じた際に起こる防御的反応です。「慢性炎症」は炎症の中でも緩やかに持続するものを指し、喫煙などの生活習慣、老化した細胞や内臓脂肪の増加、性ホルモン濃度の変化などが原因で引き起こされると考えられています。食事の影響も指摘されており、慢性炎症を起こしやすい食事や、抑制しやすい食事があると考えられています。
引用:国立長寿医療研究センター
外傷などによる一時的な炎症(急性炎症)は自然免疫反応なので必要なものですが、長期間にわたって続く慢性的な炎症(慢性炎症)は細胞が損傷し、老化の原因となってしまいます。
炎症の原因
慢性炎症の原因は次のとおりです。
- 酸化ストレス
- 化学物質の摂取
まず、「酸化」と「慢性炎症」はほぼセットで引き起こされます。
なぜなら、慢性的な酸化ストレスが慢性炎症の原因になるからです。
例えば、酸化の原因の1つである「喫煙」です。
タバコを1本吸った状態は一時的な炎症(急性炎症)で済みますが、喫煙者は毎日欠かさずタバコを吸い、慢性的に酸化ストレスを受けているため、慢性炎症になるわけです。
喫煙に限らず、一時的な炎症(急性炎症)を繰り返す生活習慣が慢性炎症の原因になります。
化学物質の摂取も慢性炎症の原因です。
私たち人間が物質を体内に吸収する経路は3つあります。
- 呼吸による吸入摂取
- 飲食物による経口摂取
- 皮膚による経皮摂取
長期間にわたって化学物質を吸収し続けると慢性炎症を引き起こします。
吸入摂取は、微小粒子状物質(PM2.5)、黄砂、自動車の排気ガス、タバコの煙、散布される農薬、殺虫剤、消臭スプレーなどです。
経口摂取は、遺伝子組み換え食品、食品添加物(人工甘味料・発色剤・着色料・保存料・防カビ剤・酸化防止剤など)、化学調味料、野菜の残留農薬、ポストハーベスト、トランス脂肪酸などです。
経皮摂取は、水道水、ファンデーションなどの化粧品、クレンジング剤、シャンプーや洗剤に含まれる界面活性剤などです。
参考 界面活性剤が入っている商品は? 界面活性剤で老化が加速する理由
このように私たちは、何気なく生活しているだけで多くの化学物質を体内に吸収しています。
人間の体は自然のものであっても花粉アレルギーや海老アレルギーなど、アレルギーによって炎症を引き起こす場合があるというのに、不自然な化学物質が炎症を引き起こさないという保証はどこにもないのです。
炎症の予防対策
炎症の予防対策でもっとも大切なことは、一時的な炎症(急性炎症)に気づき、慢性炎症にしない生活習慣を心がけることです。
現代の日本で生活している限り、化学物質の摂取をゼロにすることは不可能ですが、体内に吸収される化学物質を少なくすることは可能です。
普段、何気なく買っている食品や日用品の食品表示や成分表示をチェックし、化学物質の摂取量を積極的に減らすことは非常に大事です。
慢性的な酸化ストレスが慢性炎症の原因ですから、化学物質の摂取量を減らしながら、抗酸化作用のある食べ物を日常的に摂取することで細胞の炎症を抑えることができます。
また、細胞の炎症には断続的なファスティングやオメガ3脂肪酸の摂取が効果的とされています。
参考 16時間ファスティングの効果とは? やり方と注意点についても解説
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
老化の原因は「加齢による細胞の変化」と「細胞の損傷による老化」ですが、自分でコントロールできるのは後者の「細胞の損傷による老化」のほうです。
細胞を損傷させる原因は「酸化」「糖化」「炎症」の3つで、それぞれ生活習慣の改善で予防対策することが可能です。
すべてを完璧に予防対策することは難しいので、できることから始めてみましょう。