アンチエイジングとは何かについてわかりやすく解説しています。
アンチエイジングの意味、本質、目的をはじめ、アンチエイジングの新常識、始め方や注意点までご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。
アンチエイジングとは?
アンチエイジング(anti aging)の意味は、エイジング(aging)「老化」に、アンチ(anti)「対抗する」なので、日本語では「抗老化」または「抗加齢」という意味になります。
「加齢」と「老化」の違い
「加齢」と「老化」はイコールではありません。
加齢は同じ速度で進む平等なものですが、老化の速度は個人差があるものです。
同窓会などで久々に会った同級生をみて、「老けたな」と思う人がいれば、「若いな」と思う人もいるように、同い年であっても老化の進み具合には個人差があるということです。
加齢は年齢を加える(年を取る)ことなので自分でコントロールすることはできませんが、老化は自分でコントロールすることができます。
何歳になっても若々しい体を維持すること
老化をコントロールすることで、加齢に関係なく、何歳になっても若々しい体を維持することがアンチエイジングの本質です。
ですから、ヘアスタイルやメイク、ファッションなどで若作りすることは、アンチエイジングではありません。
また、美容医療のほうれい線やシワ治療などは、厳密にいうとアンチエイジングではありません。
しかし、美容医療によって精神的な健康を維持でき、QOL(生活の質)が上がる場合、検討する価値があるでしょう。
Quality of Life(生活の質)の底上げ
アンチエイジングの目的はQOL(生活の質)の底上げです。
健康で幸せな生活を送るために必要な身体的、精神的、社会的な側面を向上させるために、アンチエイジングは有効です。
アンチエイジングによって身体的な悩みが解消されると、自己のアイデンティティや価値観を形成しやすくなり、社会的な結びつきによって、孤独感や不安感などの精神的な問題を抱えることが少なくなるでしょう。
身体的な悩みがあって老けているよりも、身体的な悩みがなく、若々しいほうが何事にも前向きな気持ちになれますよね。
変わらない日常であっても、前向きな気持ちで自信や意欲を高め、何歳になっても幸福感が高い生活を送ることがアンチエイジングの目的です。
アンチエイジングの新常識
アンチエイジングの歴史は古く、古代エジプトや古代ギリシャでは若さを保つための様々な方法が試みられていたようです。
20世紀に入り、ビタミンやミネラルの発見によって栄養学が発展し、栄養素が若返りにどのような影響を与えるかが明らかになりました。
1998年、“age‐1 (エイジワン) ”という線虫が持つ遺伝子が発見されたことにより、現在もアンチエイジングの研究が急速に進んでいる状況です。
アンチエイジングは日進月歩なので、老ける原因や若返る方法が100%解明されているわけではありませんが、現時点での新常識を知っておく必要があります。
「老化」は病気?
2020年に出版された『LIFESPAN(ライフスパン) 老いなき世界』の著者、ハーバード大学医学大学院のデビッド・A・シンクレア教授は「老化は病気である」「老化は病気なので治療すべき」と仰っています。
「老化は病気」と考えたことがなかったので、この本の内容は非常に衝撃的でした。
WHO(世界保健機関)が管理する「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD:International Classification of Diseases)」の最新版ICD-11の改訂では、「老化」が正式な病気になる可能性がありました。
結果的に「年齢差別」の観点から、老化が正式な病名になることはありませんでしたが、「老化は病気」という考え方は世界的に浸透しつつあります。
老化を遅らせるから若返るへ
一昔前は、「老化スピードを遅らせる」というのがアンチエイジングの常識でした。
しかし、今の常識は「若返る」です。
細胞から若返りを促すことで、体内年齢や血管年齢、肌年齢などが若返り、結果的に見た目年齢が若返るというものです。
再生医療で特に有名なのは次の2つです。
- 幹細胞治療
- iPS細胞(人工多能性幹細胞)
幹細胞に関する研究が進められ、既に実用化が始まっている幹細胞治療があることから、現在では細胞の若返りは常識化しているといえるでしょう。
幹細胞治療だけでなく、細胞から若返ることは生活習慣でも可能です。
何歳になっても幸福感が高い生活を送ることがアンチエイジングの目的ですから、細胞から若返る生活習慣こそアンチエイジングの正しい方法といえます。
「お肌の」という部分的な考え方は古い
ほうれい線やシワ、シミ、たるみなど、お肌の老化は見た目年齢に直結するため、「お肌のアンチエイジング」を意識する人は少なくありません。
例えば、「ほうれい線を消す方法」や「シワをなくす方法」など、自分が気になっている部分のみに対するエイジングケアです。
しかし、「お肌の」という部分的な考え方は古いです。
「体内にあるすべての細胞から若返る」という考え方が新しい常識だからです。
部分的なエイジングケアでほうれい線が消えたとしても、頭髪の薄毛や白髪に悩まされたり、体型が中年太りだったら見た目年齢に変化はなく、アンチエイジングの本質に反するでしょう。
細胞から若返る生活習慣を意識することによって、からだ全体が若返り、お肌、頭髪、体型すべてが若返るという新しい認識が必要です。
生活習慣だけでどれくらい若返るのか?
老化研究は様々なところで日々進歩しています。
東京大学医科学研究所の城村由和助教(癌防御シグナル分野)、中西真教授(癌防御シグナル分野)らの研究グループは、新たな老化細胞の純培養法を構築し、老化細胞の生存に必須な遺伝子群をスクリーニングにより探索した結果、グルタミン代謝に関与するGLS1を同定しました。
またGLS1の発現解析により、老化細胞はリソソーム膜に損傷が生じ、細胞内pHが低下することで、GLS1の阻害に対する感受性が亢進することも明らかにしました。さらに老齢マウスにGLS1阻害剤を投与すると、さまざまな組織・臓器における老化細胞が除去され、加齢現象が有意に改善しました。
引用:東京大学医科学研究所
東京大学医科学研究所のマウス実験では、マウスを人に当てはめると、70代相当だった体の機能が40代相当にまで改善したとされています。
このような研究が実用化されると、人間でも30歳くらい若返るようになるかもしれません。
しかし、現時点においては実用化されていませんから、私たち個人にできることは細胞から若返る生活習慣を意識することだけです。
では、生活習慣だけでどれくらい若返るのかというと、遺伝や環境などを考慮した上で、生活習慣だけで実年齢から10歳ぐらい若返るのは誰でも可能だと思っています。
実年齢が40歳なら30歳、50歳なら40歳、60歳なら50歳ぐらいの肉体に若返るのは、生活習慣だけで十分可能ということですね。
私も10歳ぐらい若く見られますが、あなたの周りにも10歳ぐらい若く見える人はいませんか?
若く見える人の多くは、美容医療など何か特別なことをやっているわけではありません。細胞から若返る生活習慣を意識して、老化を自分でコントロールしているだけです。
アンチエイジングの注意点
アンチエイジングを始める前に知っておきたい注意点があります。
アンチエイジングの効果やモチベーションに関わることなので、ぜひ押さえておきましょう。
正しい知識を身に付ける
アンチエイジングの正しい知識を身に付けることは非常に大切です。
当たり前のことに思われるかもしれませんが、間違った知識をもとに実践している人は非常に多いです。
アンチエイジングに必要なのは、アンチエイジングに関する正しい知識です。
ダイエットやスキンケア商品に関する知識ではありません。筋トレやストレッチに関する知識でもありません。さらに健康や栄養学に関する知識でもありません。
必要なのは、アンチエイジングの観点からみた正しい知識です。
もちろん健康や栄養学に関する知識は大事であり、アンチエイジングに応用できる部分は参考にすべきですが、管理栄養士や栄養士はアンチエイジングのプロではありません。
管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。病気を患っている方や高齢で食事がとりづらくなっている方、健康な方一人ひとりに合わせて専門的な知識と技術を持って栄養指導や給食管理、栄養管理を行います。一方、栄養士は都道府県知事の免許を受けた資格で、主に健康な方を対象にして栄養指導や給食の運営を行います。
引用:日本栄養士会
テレビ番組では、栄養学の観点からみたアンチエイジングや、スキンケアの観点からみたアンチエイジングなど、複数の情報がごちゃ混ぜになっていることが多いです。
誤った情報に振り回されないためにも、アンチエイジングの正しい知識を身に付けることは非常に大切です。
足し算より引き算
テレビ番組で「若返る食べ物」が紹介されると、その食品を多くの人が求めて、スーパーで品切れ状態になることが度々あります。
「食べて若返りたい」という心理は、今の生活習慣にプラスする足し算的な考え方です。
反対に「老ける食べ物」が紹介されても、その食品をやめる人はなかなかいません。今の生活習慣からマイナスする引き算的な考え方は誰でも苦手なんですよね。
しかし、アンチエイジングは足し算より引き算のほうが効果的という事実は知っておくべきです。
食べ物に限らず、サプリメントやスキンケア、シャンプー、運動や筋トレ、入浴法など、生活習慣全般にいえることです。
アンチエイジングにとって本当に効果的なものはプラスしますが、できる限り不要なものはマイナスしていくという心構えが必要です。
無理なく継続できる生活習慣
何歳になっても幸福感が高い生活を送ることがアンチエイジングの目的ですから、何歳になっても継続することが大切です。
また、ストレスを感じる生活は「幸福感が高い生活」といえないため、無理なく継続できる生活習慣が絶対条件になります。
アンチエイジングは「コレさえ食べていればいい」という単純なものではありません。
アンチエイジングの方法はたくさんあるので、つい「あれもこれも」と試してみたくなりますが、「これは10年後も続けられるかな?」と一度立ち止まって考えてみてください。
また、自分だけでなく、一緒に暮らす家族の理解が必要になることもあります。幸福感が高い生活を送るためにも家族と話し合い、家族の理解を得た上で始めるようにしましょう。
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
何歳になっても若々しい体を維持し、幸福感が高い生活を送ることがアンチエイジングの目的です。部分的なエイジングケアではなく、細胞から若返る生活習慣を始めてみませんか?
「老化の原因」がわかると、生活習慣を改善しやすくなります。