16時間ファスティングについてわかりやすく解説しています。
16時間ファスティングの効果、やり方、注意点などを詳しく解説しているので、最後まで読んでいただけると幸いです。
16時間ファスティングとは何か?
「ファスティング(fasting)」とは、日本語で「断食」や「絶食」を意味します。
16時間ファスティングは、1日24時間の中で8時間は食事可能、16時間は固形物を何も食べないという食事法です。
ファスティングには、ダイエット効果やアンチエイジング効果があり、ファスティング初心者には16時間ファスティングがおすすめです。
16時間ファスティングがおすすめな理由
これまで私は、2014年から様々なファスティングを実践してきました。
3日間ファスティングは30回以上、24時間ファスティングは100回以上、16時間ファスティングは数え切れないほど行っています。
やはりファスティングは、断食する期間(時間)が長ければ長いほど難易度は高くなります。
例えば、3日間ファスティングは、断食期間は3日間ですけど、断食期間の前後に準備期間3日間、回復期間3日間を要するため、合計9日間が必要になります。
3日間ファスティングの効果は絶大ですが、まとまった連休が必要になったり、予定を入れづらいため、誰でも簡単にできるわけではありません。
しかし、16時間ファスティングなら誰でも比較的簡単に実践可能です。
16時間ファスティングのコツをつかんで、16時間ファスティングを習慣化してしまえば、何もしなくても勝手にダイエット効果とアンチエイジング効果が得られるようになります。
これは書籍や研究論文に載っていない、完全に私の個人的な持論になりますが、ファスティングは断食している「年間の合計時間」が重要だと思っています。
なぜ年間かというと、細胞分裂を繰り返し、体内のすべての細胞が入れ替わる期間は1年間といわれているため、直近1年間の食生活や生活習慣が現在の身体に反映されるからです。
そして合計時間です。
例えば、大型連休を利用し、年3回の3日間ファスティングを実践しても、断食している年間の合計時間は216時間です。(24時間×3日間×3回)
16時間ファスティングを毎日するなら年間の合計時間は5,840時間、週末だけの週一ペースでも832時間ぐらいの合計時間になるわけです。
ファスティングの中でもっとも簡単に実践でき、断食している年間の合計時間を稼ぎやすいため、初めてチャレンジする人におすすめしたいのが16時間ファスティングなのです。
16時間ファスティングの効果
16時間ファスティングには主に3つの効果があります。
- 内臓を休められるから代謝機能が回復する
- オートファジーを活性化させて細胞から若返る
- 体内の脂肪がエネルギー消費されるから痩せる
3つの効果について、1つずつ解説していきます。
内臓を休められるから代謝機能が回復する
まず、現代人の一般的な1日3食は食べ過ぎであり、内臓を休める時間がないと考えられています。
例えば、朝食は6時、昼食は12時、夕食は20時のような1日3食だった場合。
- 朝食~昼食まで6時間
- 昼食~夕食まで8時間
- 夕食~翌日の朝食まで10時間
食べ物が体内に入ってこない時間はもっとも長くて10時間になります。
食べ物が消化にかかる時間は、食べ物にもよりますが、お粥など消化に良いもので7時間、お肉や天ぷら、揚げ物など消化に悪いものだと12時間かかります。(胃と小腸の合計時間)
つまり、次の食事まで6時間、8時間、10時間というのは、前回の食事を消化している最中に、次回の食事が入ってくるので、胃腸が休まる時間が全くないということなのです。
胃や小腸に休む時間がないということは、肝臓や大腸、胆のう、すい臓など、すべての消化器系に休む時間はありません。
24時間365日、常に働き続けている内臓は疲れ切っているといっても過言ではなく、胃や小腸の消化力、小腸の吸収力、肝臓の代謝機能などが低下していても不思議ではありませんよね。
そこで16時間ファスティングです。
消化にかかる時間が最大12時間かかるのであれば、何も食べない16時間を意識的につくることで、4時間ほど内臓を休ませることができるわけです。
消化器系の内臓を休ませることで、消化吸収に使われていたエネルギーは、血管やリンパ管などの循環器系、ホルモンの産生や分泌などの内分泌系に使われ、身体の修復や疲労回復など様々なメリットがあるとされています。
また、消化しない時間をつくり、体内にある消化酵素の消費を抑えることによって、代謝酵素の量を増やすことができ、からだ全体の代謝を上げることができるでしょう。
オートファジーを活性化させて細胞から若返る
オートファジーとは「自食作用」という意味があり、細胞が自己分解し、古い細胞から新しい細胞に生まれ変わることをいいます。
オートファジーの発見は画期的な細胞の若返り機構であり、大隅良典 東京工業大学栄誉教授が2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞されました。オートファジーは、細胞内の若返り機構として、細胞内の変性蛋白質や働きの悪いミトコンドリア、細菌などの分解を介して生体を守っています。また、長期の絶食によって栄養状態が悪くなったとき、蛋白質を分解して生存に必要なエネルギーを供給します。
引用:金沢医科大学
オートファジーは飢餓状態で活性化し、ファスティングのように何も食べない時間が長いほど、細胞が若返っているのです。
オートファジーの活性化は、最後に食事をとってから16時間後といわれています。
ただ、消化のしやすさの関係で、最後にとった食事次第では12時間後でもオートファジーが活性化し始めることが確認されています。
身体には37兆個の細胞が存在し、細胞の「損傷」と「修復」を日々繰り返していますから、意識的にファスティングし、オートファジーを活性化させるのは大切だと思っています。
体内の脂肪がエネルギー消費されるから痩せる
16時間ファスティングは、別名「16時間断食ダイエット」といわれ、どちらかといえばダイエット目的で始められる方が多いかもしれませんね。
ファスティングには、体内のデトックスや腸内環境の改善などのほかに、身体的なダイエット効果と精神的なダイエット効果があるため、「16時間断食ダイエット」はとても良いと思います。
身体的なダイエット効果とは、「食べないから痩せる」という単純なものではありません。
16時間ファスティングで痩せるメカニズムとしては、「糖質制限ダイエット」と同じメカニズムで、糖質が16時間ものあいだ体内に入ってこないため、体内の脂肪がエネルギー消費されて痩せるわけです。
16時間ファスティングによって体内で起こる代謝の流れは次のとおりです。
- 血液中のブドウ糖が使われる
- 肝臓のグリコーゲンがブドウ糖に分解される
- 筋肉のアミノ酸がブドウ糖に分解される
- 脂肪酸が分解されてケトン体が産生される
「4」の脂肪酸が分解されてケトン体が産生され始めるのは、最後にとった食事から12~14時間後といわれているため、16時間ファスティングとの相性が非常に良いですよね。
これが16時間ファスティングによる身体的なダイエット効果です。
食欲をコントロールできるようになる
次に、精神的なダイエット効果とは「食欲をコントロールできるようになる」ことです。
現代人、特に日本人の多くは、社会の都合によって食欲をコントロールする機会がありません。
例えば、お昼(12~13時)の飲食店は混雑し、人気店では順番待ちや行列も珍しくありませんが、そうまでしてお昼ごはんを食べなければいけない理由は、社会(学校や会社など)のお昼休憩が12~13時前後と決められているからでしょう。
朝食の時間、年齢や体格、基礎代謝や活動量は人それぞれなのに、12~13時前後に決まって昼食をとるのは、自身の食欲に関係なく、お昼休憩という時間を目安に食事をとっているわけですね。
時間を目安にしていると、「まだお腹は減ってないけどお昼だから食べよう……」と無理やり食べたり、「お腹空いたなぁ…、お昼まだかなぁ……」と空腹なのに食べられないなど、食欲を自分でコントロールすることができません。
ファスティングをすると、自身の空腹に気づくことができるため、空腹じゃないから食べない、空腹だから食べるという風に、自身の食欲をコントロールできるようになります。
お昼休憩にしても、学校や会社で決められている時間帯に空腹のピークを合わせたり、食事量までコントロールしやすくなるので、精神的に楽な気持ちでダイエットを続けられると思います。
16時間ファスティングのやり方
16時間ファスティングの具体的なやり方を解説していきます。
食べない16時間を設定する
食べない16時間は、自身のライフスタイルに合わせて自由に設定できます。
就寝前の4時間、睡眠時間の8時間、起床後の4時間で合わせて16時間を設定する方が多く、もっとも実践しやすい時間設定だと思います。
ちなみに私は、基本的に9~17時の8時間で食べるようにし、残りの16時間を食べないようにしていますが、仕事やプライベートの都合上、時間帯が前後することはよくあります。
16時間が難しいなら14時間でもOK
16時間が望ましいのは確かですが、16時間が難しいなら14時間、または12時間でも大丈夫です。
先述したとおり、オートファジーの活性化やケトン体代謝は、最後にとった食事から12時間後でも確認されているからです。
12時間から始めて、14時間、そして16時間のように徐々に断食する時間を延ばしていく方法も良いでしょう。
ちなみに私は、基本的には毎日16時間ファスティングですが、これも仕事やプライベートの都合によって14時間や12時間になることはよくあります。
「絶対に16時間!」ときっちり決めるより、「大体16時間かな」という風に大雑把に実践したほうが長続きしやすいので、気持ちを楽にして楽しみながら取り組むことが大切です。
平日が難しいなら週末だけでもOK
平日の16時間ファスティングが難しい場合、週末だけでも大丈夫です。
先述したとおり、週末だけの週に1回のペースでも、断食している年間の合計時間は832時間ぐらいになりますから、長期的にみるとファスティングの効果は十分得られるでしょう。
ファスティング中でもナッツなら食べてOK
16時間ファスティング中、どうしてもお腹が減って何か食べたいときは、ナッツなら食べても良いといわれています。
これは私も同意見で、ナッツ類には栄養素や良質な脂質が豊富に含まれているため、空腹が心配になる場合はミックスナッツ(アーモンド・カシューナッツ・くるみ・ピスタチオなど)を常備しておくと良いですね。
ただし、食べても良いミックスナッツは「無塩の素焼き」だけなので注意してください。
食事可能な8時間は何を食べてもOK?
16時間ファスティングでは、基本的には食事可能な8時間は何を食べても良いとされていますが、あなたの目標や目的によって一概には言えません。
例えば、「16時間ファスティングをやり遂げるんだ!」という目標であれば、食事可能な8時間で何を食べても良いでしょう。16時間ファスティングを成し遂げることが目的だからです。
しかし、16時間ファスティングをすることによって、「痩せるんだ!」や「若返るんだ!」という目的があるならば、食事可能な8時間に何を食べるか、何を食べないかというのは重要です。
あなたは16時間ファスティング自体をやりたいのではなく、16時間ファスティングで得られる効果に期待しているでしょう?
16時間ファスティングは手段であって目的ではありません。目標を達成するためには、食事可能な8時間であっても、何を食べて何を食べないかを意識してみましょう。
16時間ファスティングの注意点
16時間ファスティングには、いくつか注意点があるので必ず一読してください。
食事の機会が少ないから栄養重視
16時間ファスティングをすると、食べられる時間は必然的に8時間になります。
これまでは朝食6時、昼食12時、夕食20時というタイミングで食事をとっていた場合、食事の機会は14時間で3食ということになります。
しかし、16時間ファスティングだと、食べられる時間は8時間なので食事の機会が減って、1日2食になってしまいがちです。
「16時間ファスティングは1日2食になるからダイエットに最適」という見方もありますが、食事の機会が減るからこそ、美しく健康的に痩せるためには栄養重視の食事が必要不可欠です。
例えば、たんぱく質というのは一度の食事で吸収できる量に限りがあるため、1日の必要量を1食で摂取することはできません。1食につき20~25gずつ1日3食とるのが望ましいです。
ですから、食べられる時間が8時間であっても、1日3食すべての食事で栄養がとれるような食事を心がける必要があることは意識しておきましょう。
できることなら、「まごわやさしい」を意識した食事が理想的です。
こまめな水分補給を意識する
16時間という短期的なファスティングであっても、水分不足による脱水症状の危険性があるため、こまめな水分補給を意識的にすることが大事です。
普段は飲み物以外にも、白ごはんや汁物などから水分補給できていますが、ファスティング中は、喉の渇きに関係なく、意識的に水分をとるようにしましょう。
ファスティング中におすすめの飲み物は、「ミネラルウォーター」「ルイボスティー」「酵素ドリンク」です。
16時間ファスティングは、アルコールやコーヒーを禁止されていませんが、アルコールやカフェインは利尿作用があるため、水分不足による脱水症状のリスクがあることだけは知っておいたほうが良いですね。
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
16時間ファスティングは、誰でも比較的簡単にチャレンジしやすいファスティングでありながら、ダイエット効果やアンチエイジング効果は大いに期待できます。
ライフスタイルによって16時間が難しいなら、14時間や12時間から始められますし、週末だけの16時間ファスティングも可能です。
そして、16時間ファスティングに失敗はありません。
「今日は無理だったから明日!」、「明日は無理そうだから明後日!」のように、チャレンジする機会は毎日あるので、軽い気持ちで楽しみながらチャレンジしてみると良いですね。